シェフの戯言 黒いページ

リストランテ・ロアジのまわりで起きた様々な出来事を少し辛口につづってみました。

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味わう。3.トリュフで静かに発情する。

また、ポルノなの?とお叱りを受けそうですが。
いよいよ、真打「高級食材の王にして、王の為の高級食材」

その名は「トリュフ」。


私が料理人の道を歩き始めて、運良くヨーロッパに流れ着き
日々、研鑽してるんだか すてきなマドモワゼルと
遊び呆けているんだか 解らない毎日でしたが・・・・。

その時は、概ね真面目に勉学にいそしんでおりました。
毎日、毎日レストランに行って 怪しいフランス語を駆使して
仕事をこなしていくわけですが。
料理を作っても、ゆっくり味わって食べると言う事は皆無であり
どうしても、食べたければ休みの日に 他所のお店を予約して
食べに行くしか 仕方がないことでした。


我々のトレーニングで集中食というのがあります。
仮に、若い女性が初めて乳脂肪40%の生クリームで作った
苺のショート・ケーキを食べたとします。
すると、もちろん大感激 世の中にこんな美味しいものがあったのかと
思うぐらいです。
(生クリームも苺もケーキも嫌いなら致し方ありませんが)
でも、短期間に色々なクリーム、苺、スポンジの生地を変えたものを
食べ続けていると 人間悲しい事にすぐに飽きてしまいます。


しかし、更に上を行く素材で作った 苺のショートはやはり
目を見張る美味しさがあります。
紛い物と、本物を見分けるためには、必ず一度はその食材を
飽きて見たくない位に食べる必要は在ると思います。


フォワグラの集中食は、ある年のヴァカンス、働いていた
「ラ・ブルゴーニュ」と言う2つ星のレストランが、
明日からバカンスなので、フォワグラが大量に余って処分に困り
「お前にやる」。とその大量のフォワグラを
朝昼晩と色々な調理法で、食べ続けた。
仕舞いには、ゲップ(失礼)までフォワグラの匂いがしてきそうでした。


キャビアの集中食は、私のボス「元警察庁長官、山本静彦大使」が
ある日、お土産に頂いたからと、
洗面器ぐらいはありそうな「ベルーガ」の大きな缶を持って帰っていらした。
初めは、お部屋の冷蔵庫に入れてちょこちょこ召し上がっていらしたが
奥様から魚卵は控えて下さい。とのお達しがあり
私に、恩賜いただいた。

さすがは、ベルーガの最高級品、まずそのまま頂き、週末に友達を8名ほど
自宅に招き、「手巻き寿司パーティ」。
罰当たりな事に「ベルーガのおろし合え」、「ベルーガ茶漬け」、までは美味しかったのですが
「ベルーガ雑炊」を作り、下のご飯が見えないぐらいキャビアをトッピングしたら
熱でキャビアに火が入り、その硬くて口当たりの悪い事
いくら美味しいからと言って、調理法を間違えれば
こうなると言う高い授業料でした。


こうやって、私の野望の集中食の夢は達成されてきたのですが。
(ある意味、美味しい物を飽きるまで食べると言う事はとても不幸な事です。)
「トリュフ」だけがまだないのです。
近い事は何度かありましたが、「もうトリュフなんか見たくもネエ」。
などということはありません。


トリュフには2種類あります。黒トリュフと白トリュフです。
黒ならフランスはぺリゴール産、白ならピエモンテのアルバ産が
名声を二分しています。
黒は食卓の黒いダイヤと呼ばれ、加熱する事で本来の真価を発揮します。
白はノーブルな香りが珍重され基本的に薄く削って生食します。
白トリュフは黒の価格の2-3倍はします。
黒で年にも寄りますが100g3-4万円ぐらいでしょうか?
レストランは更にそれを1g1000円ー2000円で売っています。
高いと思われるでしょうが、もし誰も食べてくれなかったら
全て廃棄処分、賄い行きは確実なのでしかたありません。


昨年末、マカオの慈善オークションに出品された、1.5kgの世界最大の
白トリュフは 最終落札価格が1900万円でした。
つまり、1gが約12666円です。


美味しい黒トリュフの思い出は、パリのフォージュロンというレストラン
「半熟卵の黒トリュフのピューレ添え」です。
卵を3分ほど茹でて、特殊なはさみで上部を切り、半熟の白身は
くりぬく、白身の部分にトリュフのピユーレをたっぷり詰めて
澄ましバターで揚げた、ブリオッシュという美味しいパンが
スプーン代わりに添えられます。


はっきり言って、私にとってその時までは別にトリュフは
物好きのお金持ちが訳が解らずに食べる物でした。
半熟の卵黄とトリュフをかき混ぜてブリオッシュですくって食べる美味しさ????。
今まで食べていた物は、一体なんだったのか?


白トリュフの思い出は、フィレンツェはエノテーカ・ピンキオーリ
(東京にも支店がございますが、ぜひフィレンツェまでお出かけ下さい。)
の白トリュフのリゾットを上げたい所ですが、
あるイタリア人のシェフの思い出がありますので、そちらのお話しを。


5年ほど前にピエモンテ料理の講習会を福岡で開催した。
その時通訳と助手でぜひ参加して下さいとの、依頼でしたので
喜んで参加しました。
怪しいイタリア語の通訳?と思いになるでしょうが
イタリア、フランスの国境地域では、普通2カ国語が話されます。
だから、フランス語で問題はまったくなし。
シェフのエンリコさんも、ペラペラでしたし
相棒の香ちゃんが、正通訳としてイタリア語のアシストもばっちりでした。


前日から会場の福岡専門調理師学校に入り、本当に楽しい仕込み。
遊んでばかりで これでいいのか?と思いました。
お昼になって、「Yamada 3人でこれを食べよう」。と言って
バックの中から出してきたのは、子供のこぶし大の白トリュフ。
???。あまりの事に一瞬何を言われているのか解らず。
「セ・ポワブレ」?(そいつは嘘だ!)と言ってしまいました。


作り方は簡単、3人前でお米は1cup、玉葱をみじんに切り
バターで炒めて、お米を洗わず投入 更に炒めて別鍋で沸かしておいた
熱々のブイヨンをひたひたになるまで入れて、弱火でじっくり20分
ブイヨンはなくなり次第継ぎ足す事!。


仕上げにバター大匙1、パルミジャーノたっぷり、オリーブオイルを加えたら、初めて良くかき混ぜる。
塩、コショーで味を調えたら皿に盛り・・・・。
ここからが、重要なところ。
専用のかんな(トリュフギッターと言います)でお米が見えなくなるまで
白トリュフを薄く大量に削ります。
思わず恍惚となる香りが当たり一面に 広がり
白トリュフはこうでなくっちゃと 唸りたくなります。



楽しい講習会も大成功に終わり、エンリコシェフにも
とても愛されてしまい、「イタリアにきたら必ず寄る様に
1週間でも2週間でも好きなだけ、居て構わないから」と
外交辞令ではなく、本気で言って頂いて。
「次はアオスタで、会おう」!と下らない親父ギャグで別れたのに一昨年ご病気で亡くなられてしまった。


トリュフを採取する時は、今は訓練を受けたワンちゃんが活躍していますが、
少し前まではメスの豚ちゃん達が活躍していました。
なぜ、メスなのか?実は豚のフェロモンとトリュフの香りは
同じ成分です。
「彼女はフェロモンムンムンだ」!などと申しますが
鳥類、哺乳類等 我々高等動物は基本的にフェロモンを出すのは牡の方です。
(なぜ、我々が高等動物と呼ばれるのか理解に苦しむけど?)
メスの豚ちゃん達はその催淫物質に、引きつけられて
トリュフのありかを見つけるわけですが
大好物のトリュフを見つけても、彼女達は食べる事はできません。
お礼に幾ばくかのどんぐりを、もらいます。
豚は神経質な故に訓練ができず、悪路では登りも降りもできず
現在のワンちゃんの出番になったそうです。

ワンちゃん達はトリュフを見つけても間違っても食べませんから。


ブリア・サヴァランはその著書「味覚の生理学」邦題「美味礼賛」。で
ご婦人方に食事の時トリュフを勧めると、トリュフには催淫作用があり、発情を促す。
とお書きになっておりますが。




最後に最近中国及びチベット辺りから、中国産トリュフの
名前で安価(それでも1kg1万円)な紛い物が入荷していますが

昔のランプフィッシュの偽者キャビアと同じで
決してトリュフなどと呼べるものではありませんので。


松茸と同じでトリュフも香りを楽しむ物です。
黒トリュフは今が最盛期です。
今宵静かに発情してみますか?
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  1. 2008/02/08(金) 18:50:51|
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