シェフの戯言 黒いページ

リストランテ・ロアジのまわりで起きた様々な出来事を少し辛口につづってみました。

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ホテル・セントラル          

はるか昔、千葉や湘南でサーフィンなどをやっていたころ
海辺の傍らのラジカセからはイーグルスの
「ホテル・カリフォルニュア」が流れていたが・・・。


パリの2区 経営危機のフランス・ソワール新聞社のすぐ傍に
我らが「ホテル・セントラル」が在る。
セントラル・ホテル(中央ホテル)などと名前は凄いが
全21室の暖房のみ。風呂なし、シャワーは共同(殆ど水しか出ない)、
部屋によってはベットはくの字。
スペシャルサービスでオン・シーズンにはもれなく南京虫付き。


今考えると、よくあんな素晴らしい環境で暮らしていたと我ながら感心する次第です。
パリに居る頃は、私宛の手紙の住所がセントラル・ホテル気付でしたので
何も知らない日本の友人はホテル暮らしが羨ましいなどと
勝手に思っていましたが、とんでもないお話で
簡単に言えば東京の山谷や大阪の釜ヶ崎のあいりん地区にある
お泊りハウスに毛が生えたようなものでした。
一応、1階の入り口と自分の部屋の都合で2ヶ所の
鍵が唯一のプライバシーを守るための装置で
隣の淫乱なお姉さんが自慰に耽るあえぎ声や、
毎週末違う男と繰り広げる、狂宴の様は手に取るように
解る仕組みで、甚だ賑やかかつ落ち込む環境でした。


ホテルの経営者兼、オーナー兼、掃除夫のカスティロおじさんは
スペイン人のバイセクシュアルで、フランコファシスト政権が嫌で
スペインから逃亡 勇猛名高いフランスの外人部隊
それも極め付きのパラシュート降下部隊に入隊と言う輝かしい経歴の方でした。


なぜか、そのホテルは食い詰め者の吹きだまりみたいな所でした
日本人も何人かいたのですが、ざっと覚えているだけで
股間に綿を詰めるチビのバレエダンサー、シェパードを絞め殺したコック、
日本で騙されてパリに売られて、パスポートまで取り上げられて
蛸部屋から命からがら逃げ出した焼き鳥屋の兄ちゃん、
アルジェリアからのヤク中の流れ者、屋根裏部屋の三味線弾き等
今考えるだけでネタの宝庫で、彼ら一人一人で短編が書けそうな
ぐらい壮絶な経験をなさっている方ばかりでした。


シャルトルの契約が終わると、田舎は嫌だと都会に出てきたのですが
それでなくても外国人に冷淡なフランス人なのに、パリジャンやパリジェンヌ
などと聞こえは良いがとんでもない話で、パリで初めに覚えたジョークは
「パリは最高、これでフランス人が居なければもっと良いのに」と言うジョークでした。
ちゃんとした滞在許可証も労働許可証もない
我らが日本人の不法就労者がまともな、アパートなどに
入居できるわけが無く、切羽詰って木賃宿に宿泊せざるを得ない状態でした。
その頃は、ラ・ブルゴーニュと言う二つ星のレストランで
パティシエーをしていました、元々はキュージニエー(料理人)なのですが
手っ取り早くお金を稼ぎたかったのと、本格的に製菓を学ぶ必要があったからです。
パティシエーは朝が早いし、レストランでデセールは一番最後に出るので
帰りはいつも一番最後です。
そのためいつも慢性的な睡眠不足で、昼休みには必ずホテルに帰って
寝ていました。
在る日のこと、シェスタ(昼寝)をしていると
聞き覚えの在る音色が聞こえてきます。
でもまさか、ここはパリです三味線の音など聞こえるのは
只の幻聴でしょうと、また意地汚く眠りに就こうと目を閉じると
今度ははっきり聞こえます、間違いありません三味線の音が
大音量で上の階から聞こえてきます。
とりあえず、10分我慢しましたでも止みそうもありません。
仕方無しに着替えて上の階へ。
音のする部屋には誰か居るのは決まっているのですが
「イリヤ・ケルカン」?(誰かいますか?)とドアをノックする。
変な髭面の仙人みたいなおっさんが出てきました。
「ヴーゼット ジャポネ」?(日本人ですか)と聞くと
(時々日本人そっくりでも全く違う方がいますので)
「はぁ」?と聞かれたので今度は日本語で「日本人ですね」と
訊ねると「ハイ」との返事。
多分今現在このホテルには、夜の仕事のために仮眠中の
人間が3名は居るので、三味線の練習はやめて欲しい旨伝えました。


「私は何処で練習したら良いのですか」?
「そんな事を聞かれても知るかよ」。
冷たいようですが知らない国でみんな自分の事が精一杯です
他人に変に優しくすると必ずそいつから、理由も無くパラサイトされてしまいます。
これはどうしたら良いのか?○○に行くにはどうすれば良いのか?
仕事を探してくれ、金を貸してくれと迷惑至極です。
同じ日本人だからとやたら甘える人間がパリに多いのは理解に苦しみます。
まあ、そんな人間は「パリゴロ」。と呼ばれていました。
語源はパリで無目的にゴロゴロしているからパリゴロ。
パリで暮らしていましたの台詞が吐きたくて暮らしている人は沢山います。
もうひとつは、ジゴロ(gigolo女性に養われる男、ひも)のゴロから
来たとも言いますが解りません。



件の「屋根裏部屋の三味線弾き」私が仕事に行った後も
弾いたらしく2-3日したら居なくなりました。
何でもみんなに脅されて仕方なく出て行ったとの事です。
仙人は、津軽三味線をフランスで広めるのが夢みたいでした
とにかく、色々な人が住んでいたホテル・セントラルでした。

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  1. 2009/02/25(水) 22:44:50|
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