シェフの戯言 黒いページ

リストランテ・ロアジのまわりで起きた様々な出来事を少し辛口につづってみました。

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獣偏

獣偏
けだもの‐へん【獣偏】

漢字の偏の一。「猫」「狩」「狂」などの偏の称・・・・・。
肉食獣が獲物に襲い掛かろうと身構えている様子から、この偏が生まれたと言われる。

すみません、漢字検定3級以上の方。
正式な読みは、けもの偏であって決してけだもの偏ではないのですが。


昔、調理の仕事をあるきっかけから始める事になりました。
あるできごと以前は、日本体育大学にでも行ってどこかの
女子高の体育の先生にでもなろうと思っていましたが・・・・。
女子高生とのばら色の人生は、高校の自習時間に右足首の骨折という
お馬鹿な事件で一瞬のうちに 泡沫と消え去りました。


特に調理と言う仕事が好きでも、嫌いでもありませんでした。
(食べる事は好きでしたが、作る事とはまた別のお話しです)
まあ、天職だと思う何の根拠も無い気持ちと 頑張れば
憧れの先進国への海外脱出が叶う、ブロンドのお姉さんと楽しく過ごせる。
ただ、それだけの不純な動機でした。
(残念ながらブロンドの女性とだけはお付き合いができませんでした)
いざ始めてみると、なかなか面白い仕事で少しづつのめり込んで行きました。
生活があって仕事があるのではなく、生活の全てが
万事仕事中心に動いていました。
箱根に居る時に、高松の全日空ホテルがオープンするから
荷物をまとめろと言われれば、何も疑わずに何も聞かずに
退職願を書き、見ず知らずの四国の高松に行く気でいました。
ほんの些細なズレが生じて、同じANAホテルズでも
運良く東京全日空の開業準備室に入社をして、3年先の
開業まで好きなことをしてもよいと、身分を保証された
立場でしたからそのまま、フランス行きの飛行機に乗りました
婚約をしたばかりの、ガールフレンドとは別れましたが・・・。
(ヨーロッパには結局8年半も長々と居座って
憧れの東京全日空ホテルなど どうでもよくなっていました。)

前にも書きましたが、渡航賃が不足していたのでパリに行くまでに
仕事が終わってデパートの内装工事のアルバイトを朝までやっていました。
たまの休みの日は、氷の彫刻の勉強や、菓子屋で、魚屋で、肉屋で
全てただ働きをしていました。
ピーク時のシーズンは1日18時間労働で、約40日間休みなしとか
当たり前に働いていましたけど、残業が付くわけでもありませんでした。
その当時は、自分と同じ年で私より仕事のできる奴がいるのが
許せなかっただけでしたが、回りの先輩から
「お前はケダモノ偏だ」とよく言われました。
狂人の狂の字もけもの偏だからなんですが。
のめり込んで、我を忘れて1時期は仕事に没頭しないと
若く慣性が豊かな時期でしか覚えられない事が沢山あるのです。


当時の自分の持ち物と言えば、包丁など仕事のための道具、料理の本
1着だけでしたが仕立てのよいスーツ、普段着少々 それだけ。
他には一切合財何も荷物はありませんでした。
仮に「出て行け」と言われたら10分後には荷物を全てまとめて出て行けそうでした。
そんな私に、全日空は分不相応な、マンションを借りていてくれましたが
一人に2LDKは、広すぎるからといって早々に狭いところに
借り直してもらいました。何の荷物も持たない私にとってそれはとっても、
無駄でかつ自分の部屋に何も無い事が少し惨めでした。

専門的な自分の仕事の事、一般常識、数学、物理、化学、国語、英語、フランス語
地理、歴史(日本史、世界史)等手当たり次第に、一生で一番勉強しました。
それでも、時間はいくらあっても足りませんでした。


今年のお正月明け、1人の女の子がお母さんと食事に来ました。
年を聞けば「20歳」今年成人式との事。
食事が終わって、うちで働きたいと言われた時は
はっきり言って、「又かい」?と思いました。
弟子で最後に続いたのは、通称メタボ君と言う若者で
散々鍛えられて、3年前に他所の大きなイタリアンレストランに
料理長としてヘッドハントしてもらえました。
(いつまでも居るのが面倒になって半分追い出したのですけど)
それから、何人か若者が仕事がしたいと門を叩きましたが
どいつもこいつも、物にはなりませんでした。


確率から言うと 鮭の生んだ卵が海に下り。
親になってまた、河に帰ってくるぐらい難しい事なんですが
どれくらい難しい事かは 「鮭サラの一生」 
(至誠堂 H・ウィリアムスン 訳/海保 真夫 絶版)でもお読み下さい。




弟子を育てるのは、本当に面倒くさいんです。
とてつもない忍耐と体力を必要とします。
働いてくれているつもりでも、初めの3年間は何の役にもあまり
たってはいないんです。
はっきりいって、私一人でできることは一人でも構わないとも思います。


でも、かつての自分がそうであったように、学ぶ気のある人間には
学ぶ機会を与えてあげたいとも思います。
先日2回目の面接をしました、情にほだされて採用不採用を
決めるのは危険です・・・・・けど。
彼女にとっては初めての就職なんです。
安易に採用して、消耗品みたいに使ってあげく、ポイなんて事はできないのです。
他の店が、あたりまえみたいにしているような事ができれば良いのですが
私にはできません、スタッフは消耗品ではなく、仕事の仲間です。
何とかしてあげたいと言う気持ちはとりあえず起こりましたから
後は学校から送られて来る書類を見て判断するしかないのですが
とにかく、使ってみなければ解らないのです。
世の中には面接の達人と言う、陰日なたのある人間がいます。
面接時に、満点に近い受け答えをしたからといって
この仕事に向いているなどと言う保障は何処にもないのです。
逆に彼女に対しても同じです、採用されていざ働き出して
自分が甘かったと思うのか、私みたいにバレーの部活に比べたら
全然大した事は無いと思うのか、人は様々ですから。
でも、今の時点ではいかに厳しいかとといわれても、彼女には不可知なのです。



彼女がケダモノ偏になって仕事をする覚悟がどこまであるのか?
人のえにしは一期一会ですが、最後には自分次第。


彼女が不幸にならないために心は揺れています。
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  1. 2009/02/05(木) 23:01:46|
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