シェフの戯言 黒いページ

リストランテ・ロアジのまわりで起きた様々な出来事を少し辛口につづってみました。

短い休み

久しぶりの休みである。
ゆっくり起きてシャワーを浴び濡れた体を拭きながら、缶ビールをグッと飲む。
今日は仕事に追われる奴隷の身の上じゃなく、自由な予定の無いお休み さて何をする?
まったくの放置プレイ状態のガールフレンドがたまには「遊んでよ」とうるさいので、2ヶ月ぶりの陽の当たるデート。海中にでも行って魚と戯れたかったのですが、なんせ暑いし船で行くかバスもいい電車も捨てがたいと迷っているうちにこの案件は却下。
まだ午前中なので映画でも行きますか、と言う事になって映画館には行ったものの時間が合わず、キャナル・シティーまで足を伸ばしたけどやはり時間が合わず そろそろお腹が空いてきたのでお昼にしましょう。
めったにキャナルで食事をしなくなったが(当たりよりはずれの回数が多いので)まちがいのないところで某ホテルの中華に行った。
あてのない休みの日に運河沿いを歩く人たちをぼんやり眺めながら食事をするのはとても好きです。某ホテルには何名か親しいスタッフもいるので安心して 15分後に行きますから空いていれば窓側の席をリサーブしたい旨伝えたが、今は空いているが15分後は解らないとまったく頓珍漢な事を言われたので「あなたが私の席にリザーブの札を置くだけでしょ」?といっても要領を得ない「10分内においで下さい」。と駄目出しまでされてしまった。
これは多分夏休みだし 忙しいのだろうと思っていたらガラガラで窓際の席も3席空いてるなぜ電話を受けた彼は訳の解らん事を言ったのだろう?
夏バテか夏ボケだろうと笑って席に着いたが、まずメニューが変わっている少し心配、知っている顔がほとんどいない段々不安。
ここに来たら「飲茶」でしょう。とりあえず6品ほど頼んで何か飲みたいかったので生ビールと彼女はお酒がだめなのでプーアール茶をオーダーした。
生ビールはサーバーも良くというか、かなりきれいに毎日洗滌しているのでしょう とても美味しかった。
で彼女のプーアール茶だけど、とってもおしゃれなポットと何とグラスでサーヴィスされる。ガラスは熱伝導が良すぎてこれじゃ飲めないだろうなと思っていると案の定、熱くて唇でも火傷しない限りとても飲めそうにない、「これは下げて普通の湯飲みを下さい」。
すぐに代わりの湯飲みは持ってきてくれたけど、このホテルの雰囲気に呑まれて何も言えない人もいるだろうと黒服の方をつかまえて「とてもおしゃれなのはいいけど、これじゃ熱くてお茶は飲めないから少し考えた方がいいんじゃない」?と伝えたが
「グループホテルで今年の夏はこのグラスででサーヴィスすることに決まっておりまして」。とまるでどこぞのお役人様のおっしゃりようなので半ばあきらめて「じゃあ一度、支配人かマネージャーにこのグラスで熱いお茶を飲んでみて下さいとお伝えしといて」。
他にも気になる接客、対応が多々あったが。「他山の石」という格言がある自分でも同じような事をやっていないか?良かれとと思ってお仕着せのありがた迷惑な接客をしていないか?少し反省しました。
味は前回に続いて落ちたという感じは(点心師が変わったのか?)ぬぐえなかったがそれでも十分美味しかった。

映画は「ダイハード 4.0」を観た。娯楽作品としては物理科学上ありえない事が満載で2時間つっ込み放題の楽しい作品でした。
  1. 2007/07/25(水) 15:16:00|
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道化師 3

 道化師も長々と3回目、初めにお断りしておきますが私は断じてソムリエ諸氏のことを誹謗中傷して笑い者にしているわけではありませんので。

さて最後に2人のソムリエの登場となる。
初めてヴィエンヌのレストランピラミッドに行ったのは85年の夏の
ヴァカンスの時だからもう22年も昔の事になります。
「マダム マドが元気なうちにぜひ一度行きなさい」。
レストラン ピラミッド。当時世界一と言われていたレストラン。
このレストランの事はいずれ項を改めて書きますが、今我々がやっている現代の手法はほとんどここから始まり 我々はレストラン ピラミッドの恩恵を受けている。
18世紀から続く重く複雑怪奇な?古典的料理の簡素化は 2人のマエストロ(巨匠)の手による物である。1人のマエストロの名前はオーギュスト・エスコフィエ。彼の活躍の場は殆どが外国で(フランス以外の国)ホテル王セザール・リッツと組んで立ち上げたリッツホテルはたちまちヨーロッパの王侯貴族を魅了した。彼は「王の料理人」と呼ばれた。エスコフィエはギィド・キュリニエールという1冊の画期的な料理の本を残した。 
今1人のマエストロはフェルナン・ポアン(ピラミッドのご主人)。
彼はリヨン郊外のヴィエンヌという小さな町一生を過ごしたがその小さな町のレストランには世界中からの美食家であふれていた。彼は本の1冊も残さなかったが素晴らしい弟子を数多く残した、現代フランス料理界の重鎮と呼ばれているグラン・シェフは殆どが彼の弟子又は孫弟子である。彼は「料理人の王」とよばれた。 流れを汲む我々は皆遠い弟子である。
さて前置きが長くなったがピラミッドは当時パリのタイユヴァンと並んで予約が取れない事で有名で通常半年前から予約で一杯。
私が予約を入れたときも(3ヶ月前なのに)「誠に残念ですが」との事。困り果てていると、ヴラロレーヌ(ベルギーの三ツ星)のシェフが何とかしてやるといって電話をしてくれた。しかしディナーは無理で何とかデジュネ(昼食)の予約をとってもらえた。
料理の仕事に就いた時からピラミッドで食事をするのが夢だったので当日の朝は舞い上がって嬉しくて仕方なかった。
レストランに行って初めて堅くなった。辻 静雄さんの「ヨーロッパ1等旅行」の「お金は構いませんので美味しい物を」の台詞を言った後
「ワインはどうするね」?そういって現れたのがピラミッドのソムリエ
ルイ・トマジさんだった「料理に合わせたワインを選んでください」。
「ダッコー」。(かしこまりました)といって下がっていった。
「彼が伝説のソムリエなのか、もう年は80は軽く越えているのに現場で働けるなんてとても素晴らしい」。と感心しつつ文句無く美味しい料理はまるで手品のように現れては消え・・・。
「一生に何度も無い経験」友達の言った事は嘘ではなく なぜ世界一と言われるのかおぼろげながら理解した。
ソムリエの話をまったくしないじゃないかと言われそうだが彼のセレクトしてくれたワインはとても素晴らしく、サーヴィスも影のごとくまったくじゃまにならず、こちらからお金はいくら掛かっても構いませんと伝えてあるのに私の財布の中を完全に見透かしてセレクトしてあった。
感動と料理でお腹を一杯にして、お勘定をしてもらった時サーヴィス料とは別に「皆さんに」とテーブルの上に置いた200フラン(当時のレイトで約9000円ぐらい)が何だか汚わいな物の様に思えた。

ハイレヴェルなレストランにソムリエは必要不可欠な存在でなければならないはずなのに、今の所彼らの接客を見ていると不必要としか言いようが無い店が多い。
まず「俺様はソムリエ様だ」って態度は止めた方が止めた方が良いし
やくざの金バッチと同じでそれだけで怯える客がいるのは事実だし
(大抵とんでもない目にあっているのが原因だということは考えるべき)
みなさんはプロだから詳しいのは当たり前で、客が無知だからと言って馬鹿にした態度をとるのは如何なものか?(お前にワインの事を教えてやると言う様な態度)
この店はソムリエがいるから安心じゃなくてソムリエがいるからゲストを不安?にしている店も多々ある。

道化と称して長々と書いたが、最後に今1人ソムリエに登場してもらわなければならない。
ある年の11月ガールフレンドとその年のボージョレーが飲みたいねと知り合いのソムリエのいるレストランに食事に行ったが・・・。
「ワインはヴィラージュのヌーボーを」。
「今年のはあまり薦めませんが」。
「別にそんなにたいそうな事じゃないから構わないよ」。
彼は別の高いワインを薦めたが私は断った。
それだけの事であり、それ以上でもなくそれ以下でもない。
抜栓して現れたのは彼の薦めた高いワインだった。怒り狂いたかったが私の理性は楽しい夜が台無しになるから止めとけとなだめにかかる。
「あっそ?これなんだ」「料理にボージョレーが合いませんので」(それは私が決める事なんだけど)と彼はぬかした。我々留学生は留学生スタイルといって何でもかんでも赤ワインを合わせる悪い癖があるんだぞと教えてあげたかったが馬鹿らしいのでやめた。
でも店のワインリストにはちゃんとその年ボージョレー ヌーボーがありますと盛んに宣伝しているのに・・・・。私にとってその年のボージョレーを飲むのは冬至になったから柚子湯に入るのと同じようなただの季節の通過点にしか過ぎないのに。
彼女との食事は楽しかったが、彼からされた事は不愉快だった。
(多分私に気を使っての事とは思いますが)
客に(私に)売れないようなワインをなぜ置いてあるのかね?

以上のような理由で道化師の話しを書いてみました。
  1. 2007/07/11(水) 21:20:11|
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道化師 2

 前回からの続き・・・。
近年福岡のソムリエ人口も増えて誠に喜ばしい限りではあるが、
何ちゃって勘違いソムリエ君の人口比率も増えているのが現実です。
確かにソムリエの試験は大変で合格するまでの自己投資の総額は
かなりの金額に上ると思われますが、多分元々酒飲みだし 飲酒は
とっても好きだし 他の危険物取扱者の試験だの自動車整備技師の
試験とはそこらへんがかなり違うかな?
でもフランス、イタリア、スペインをかなり勉強(というか試飲を)
した後で他の地域も知らねばならぬので、彼らは買う、ワインを買う
休みの前日ともなれば未来のソムリエ候補達が集まって     
人数×2本ぐらいの高価なワインを抜栓することになる。
で・・・。ここから問題が発生する彼らのチープな給料ではワインの
確保が精一杯で大事なマリアージュ(料理との組み合わせ)までは
手が回らず結局パンだけとかお店からちょろまかしてきた期限の切れた熟れすぎ熟女みたいなチーズを食べる事になる。
(これはこれで美味しいのですが、何を私は言っているのでしょう)
高級店にいて客の飲み残しが試飲できる環境にあれば良いが、大抵彼らは身銭を切って学んでいるのだから立派だと思う。 
でも我々の仕事は人を楽しませる事のはずなのに、サーヴィスの一翼を担うソムリエ氏達が遊ばないでどうするのかな?と他人事ながら気になります、飲食店のスタッフと思しき方がコンビニ弁当に群がるのは如何なものか(調理、接客も含めて)。
そうやって苦労して試験に合格、晴れてソムリエとして活躍が始まると
おかしくなる人が多いのはなぜ?
なぜかワイン教にはまる人が多いのはなぜ?
昔ワイン教の信者の集まりに仲間だと思われてよく誘われた。
それはそれで楽しい時間で参加者のかたも、人品骨柄卑しからぬ方もいてなかなか知的なお話しをしていただいてありがたかったのですが、
総じて皆さん、
1・タバコ何が何でも許すまじ、(受動喫煙、がんに対するリスク等タバコの害は十分理解していますが、一部のファナティックな嫌煙運動家の活動や愛煙家と称する方のやっぱりファナティックな活動には少し疑問を感じます。私個人は殆どタバコは吸いませんが、食後のグラッパ、マール、コニャックといっしょに味わうシガリロ 「細巻きの葉巻」は大好きです)


2・ワインが人類史上最高の飲み物
ある程度賛同できますが、受け入れられない面もあります。

3・スノッブが多い
何年か前シャンパーニュを室温で飲む馬鹿な奴らがいらしたが。
私の味覚は断じてそれを受け入れない。
炭酸が生温くて美味いわけがない、それでもそれが美味しいとあなたが思うならその味覚は尊重しますけど 私を巻き込まないでください。
「私の師匠はシャンパーニュとウオッカに冷やしすぎは無いと教えてくれましたので」。
私の味覚を全面否定したオヤジさん、あなたが正しければあれから6年も時間が経過しているので(意外としつこい)世界各国「泡は室温で楽しむべし」とお触れがでてもよさそうな物だけど一向にそうならない所を見るとあなたが馬鹿になさってた一般大衆は、あなたほど馬鹿ではなかったと言う事ですか?

kkkの福岡支部じゃないんだからワイン教の信者を増やそうと
うぶなゲストを折伏するのは止めて下さい。
せっかく美しい女性を誘って食事に来たのに・・・。
できれば今夜あなたと懇意になりたいのに・・・・。
たのむから邪魔しないで下さい。二人で2時間半のディナー、料金に
3万円支払ったら1時間のコストは12000円になることぐらい理解しなさい。「シッシッ」と言いたくなる時がある。

この章今日で終わりの予定だったのに終わりそうに無いので次回に続く
  1. 2007/07/08(日) 14:16:22|
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道化師 1

 日本の大きなレストランやホテルで料理の注文が終わると「さてワインはいかが致しましょうか」?といってワインの担当つまりソムリエ氏がお出ましになる。
襟元には葡萄のバッチをきらめかせて、なぜかしら殆どが尊大で横柄な態度で「お客様の料理にはブルゴーニュの○○がよろしいかと」とこちらの予算も聞かずに畳み掛ける方。
アペリティーボでも飲みながら連れの女性とゆっくり決めたいのに横に立ったままワイン決めるまで離れない方。
シャンパンをやたら勧める方。
詳しいのは当たり前だけどやたらワインを語る方。
?と言いたくなるような奇妙奇天烈なマリアージュ(組み合わせ)を
勧める方。一生懸命なのは解るけどその懸命さが時として道化の振る舞いとなる。

 私の知人のカップル,ソムリエになれるくらいお酒の事に詳しいのであるが。
結婚何周年かを記念して市内某Nホテルで友達を招待してディナーを1席用意したらしい。料理は前もって頼んであったのでいきなりソムリエ氏のお出ましとなり「本日は結婚記念日と伺っておりますが、よろしければ私がストーリを作ってさしあげたいのですが」。
いつもは二人で決めていたのにその日はマダムの方がストーリという言葉にころりとだまされて「ねえあなた、たまにはお任せしてサプライズを楽しみましょう」と言った物だから 普段から「何も悪い事をしてなくても奥さんが恐いのが恐妻家だ」と言っている彼は賛成せざるを得なかった、かくてルイ・ローデレールのクリスタルシャンパーニュで始まるディナーが始まった。(そのときこれはやばい事になったと思ったらしいが)
料理はそこそこ美味しかったのに 件のソムリエ氏こいつらからふんだくってやろうと思ったらしく組み合わせは二の次の高いワインばかりを抜栓されてしまった。それでも少しいい気持ちになってお勘定をたのんだら6名で大枚24万円近くの請求でとってもリッチな二人だけど満足もしていないことにそんな大金払えるかと心の中で思った。
ソムリエ氏帰りのお見送りに入り口まで来て彼に聞いた
「私のストーリはいかがでしたか」と。
彼は答えた「このストーリは喜劇なのかね?悲劇なのかね?」と。
  1. 2007/07/04(水) 16:47:59|
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